魚鱗癬(ぎょりんせん)という病気をご存知ですか?
私は生まれた時から先天性の魚鱗癬という病気を持っています。
魚鱗癬とは、名前の通り魚の鱗(うろこ)のような皮膚症状を呈し、肥厚性・乾燥といった症状があり、皮膚の落屑(らくせつ)が顕著にみられます。
時々アトピーとも間違われます。
(後述しますが、分類によって皮膚の症状は大きく異なります)
今までブログで自分の病気について書いてきませんでしたが、もっと多くの人に魚鱗癬について知ってもらいたいという気持ちになったため今回記事として書く事にしました。
インスタグラムでも医療関係の投稿を毎日しているので、もし興味があればチェックして見てください★
1.魚鱗癬の主な種類(分類・区分・重症度)
魚鱗癬の主な種類(分類)です。
※文献によって、分類の仕方や病名が異なります。
今回は魚鱗癬なら新しい皮膚科学(PDF)を参考にさせて頂きました。
- 尋常性魚鱗癬
- 伴性遺伝性魚鱗癬
- 道化師様魚鱗癬
- 葉状魚鱗癬
- 先天性魚鱗癬様紅皮症
- 表皮融解症魚鱗癬
- 表在性融解症魚鱗癬
- ロリクリン角皮症
- 魚鱗性症候群
- 後天性魚鱗癬
最も症状が軽度なのが尋常性魚鱗癬で、全人口の250人に1人程度の割合で、逆に最も重症なのが道化師様(ハーレクイン)魚鱗癬で30万~50万人に1人の割合と言われています。
道化師様魚鱗癬は特に深刻で、生後2週間以内に亡くなる例も多く、太陽の光を浴びるだけで皮膚にダメージがあるため、外出時は包帯を巻いたり、夏でも厚手の服装で完全に防備し、直射日光が当たらないようにしなければなりません。
私は伴性遺伝性魚鱗癬という先天性の魚鱗癬です。
伴性遺伝性魚鱗癬は約6000人に1人の割合と言われており、日本の人口が1億2000万人と考えると、推計で約2万人同じ病名の方がいると考えられます。
2.伴性遺伝性魚鱗癬の特徴
私の病名である伴性遺伝性魚鱗癬は、別名をX連鎖性劣勢魚鱗癬や常染色体劣性魚鱗癬と呼ばれており、大きな特徴が2つあります。
①男性のみの発症
1つ目は男性にしか発症しない病気です。
人間の染色体の種類は女性ならXX、男性はXYです。
劣勢遺伝子X(a)による遺伝なので、優先遺伝子X(A)を持つ女性は発症しないのです。
ただし、女性も遺伝子情報は持っているため、同じ遺伝子情報を自分の子供に受け継がれる事になります(キャリア)
②隔世遺伝
もう1つの特徴が隔世(かくせい)遺伝するという事です。
隔世遺伝とは1世代をまたいで遺伝するという遺伝形態の事を指します。
具体的に言うと
私の遺伝は、私のおじいさん(祖父)から受け継がれた遺伝です。
また、私の子供は魚鱗癬になりませんが、私の孫(男児)には遺伝します。
こうして1世代またいだ遺伝で、いつまでも病気が受け継がれていってしまうのです。
3.魚鱗癬の主な症状と増悪する季節と画像
主な症状としては、とにかく痒(かゆ)いです。
ただ、年間通して痒いわけではなく、季節の変わり目や冬など乾燥する季節です。
北海道出身の私は冬が長いため、痒みが続く時期が長かったです。
現在は東京在住なので、北海道に比べると皮膚にとっては良い環境だと思っています。
人によって増悪期が異なるようですが、思春期は痒みが強くなり、その後軽快していく人も多いようです。
私は20〜22歳頃が最も痒みが強く、その後は軽快した印象があります。
鱗のような見た目ですが、生まれた時からなので全く気にならなくなりました。
(私は自分の肌を「キリンのような肌」と呼んでます)
冬や乾燥する季節になると下の画像のような肌になります。
(画像出典:旭川医科大学のホームページ)
夏など乾燥しない季節は、こういった外見症状がないため、一般の人の皮膚状態と変わりありません。
(※魚鱗癬で画像検索すると、道化師様魚鱗癬の画像ばかりヒットしてしまいます。道化師様魚鱗癬は特に重症例なので、伴性遺伝性魚鱗癬の皮膚症状とは大きく異なります)
4.魚鱗癬は頭皮にまで症状が出る
(ここで書く内容は、この記事で最も伝えたい事です)
子どもの頃につらかったのは、痒みよりも落屑(らくせつ)です。
落屑とは、皮膚が剥がれ落ちる状態の事です。
皮膚が乾燥している方や高齢者に多い症状です。
人によるのかもしれませんが、私の場合は落屑が頭皮にまでありました。
頭皮の皮が剥がれるため、常に髪の毛の中に白い粉状の物が交じる状態になっていました。
こうなると「頭が汚い」「フケだ」「不潔」などのイメージがつきまといます。
友人などから直接言われた記憶はありませんが、不潔だと思っていた人はいると思います。
特に幼少期は、いじめの原因に繋がる事もあるため、注意が必要です。
私はよく家族から「頭が汚い」と言われていました。
中学生にもなって、頭の洗い方を家族から再指導されたりもしました。
乾燥や痒みから、無意識に頭を搔いてしまい、掻けば掻くほど落屑がひどくなり、またストレスから引っ掻いてしまう事の繰り返しでした。
小学生の時から、朝は頭を洗って(いわゆる朝シャン)から学校に行くようになり、25歳くらまで毎日朝のシャンプーを続けていました。
朝の貴重な時間が浪費されてしまうのはもちろん、何よりも家族に理解されない事がつらかったです。
もし、魚鱗癬の子どもを持ったり、魚鱗癬の友人がいるのであれば、そういった症状がある事をよく理解してあげてください。
見た目の情報だけで、子どもや友人を判断しないであげてください。
こどもの時に感じる見た目のコンプレックスは、大人が思っている以上に大きな痛みになります。
頭皮の落屑に関しては、成人してからは落ち着いてきています。
ただ、今でもスーツなど黒や色の濃い服を着る時は、肩周りが白く粉吹き上状になってしまう事があります。
幸運な事に、私は看護師という白衣を着る仕事に就いたため、仕事中は全く気にならなく(目立たなく)なりました。
5.痒みの対策として使っている薬
一般的には魚鱗癬に対してワセリンや刺激が少ない保湿剤、尿素系の保湿クリームなどが推奨されていますが、私の場合は刺激となり、逆に痒みの原因となる事が多かったです。
最終的に落ち着いたのは、アルメタ軟膏とオキサロール軟膏の混合薬です。
アルメタ軟膏はステロイド薬です。
比較的刺激が少ないとはいえ、使いすぎると皮膚が悪化してしまうため注意が必要です。
ジェネリック医薬品(後発薬)ではアルメタ軟膏がビトラ軟膏、オキサロール軟膏がマキサカルシトール軟膏となっています。
※症状は人それぞれ症状や軽度が違うと思いますので、使用に関してはDrとよく相談してから処方してもらってください。
痒み対策として、抗アレルギー薬も内服している時期がありましたが、イマイチ効果を実感できなかったというのが率直な感想です。
今はもう内服していません。
私が内服していた主な抗アレルギー薬
- アレグラ
- アレジオン
- フェキソフェナジン
- アレロック
- ザイザル
- タリオン
5.魚鱗癬の会
魚鱗癬で悩んでいたり苦しんでいる人はたくさんいますが、まだまだ一般的には知られていません。
同じ病気で悩みや疑問がある方は魚鱗癬の会というコミュニティーもあるので、そこで相談する事もできるようです。
冒頭でも書きましたが、もっと多くの人に魚鱗癬の存在を知ってもらいたいと思っています。
魚鱗癬で悩んだり苦しんでいる人に、このブログ記事が役に立てば嬉しいです(^^)