「やる気を出さなきゃ!」
と頭では分かっていても、なかなかやる気って出てこないですよね。
- やる気が出ないから行動が起こせない。
- 行動が起きないから結果が出ない。
- 結果が出ないからやる気が出ない。
という負のスパイラルにハマってしまっている人も多いと思います。
そんな「やる気」が意外と簡単に出てくる方法があります(^^)
この記事では「やる気のメカニズム」と、脳の仕組みを利用した「意志の力に頼らないやる気の出し方」を紹介していきます。
①作業興奮の原理
やる気が出ない原因の1つに「始めていない」というのがあります。
「やる気」というのは、待っていても自動的に出てくるものではありません。
いったんやり始めると「やる気のスイッチ」と言われている脳の側坐核が刺激され、やる気が出てきます。
『なかなかやる気が出なかったけど、やってみたら意外と進んだ』
という経験をした事がある人も多いのではないでしょうか?
これを【作業興奮の原理】と言います。
やる気が出ない時は、まずは始める事です。
②開始までのハードルを下げる
2つ目は開始までのハードルを下げます。
これは「〇〇だけ効果」を使うと効果的です。
やらない時間が増えれば増えるほど、自分との葛藤が続き「やる気」のエネルギーを消耗します。
- 「5分だけやる」
- 「英単語3つだけ目を通す」
「〇〇だけ」と 自分へのハードルを下げる事で初動が早くなります。
初動を早くすることにより、開始するまでに葛藤している間のエネルギーの消耗を回避します。
開始のハードルを下げる技術は、スティーブン・ガイズの著書「小さな習慣」に詳しく書かれており、新しい習慣を身に付けたい時にも有効です。
③達成可能な目標設定をする
ついついやってしまいがちなのが、「あれもこれも」と詰め込み過ぎてしまう事です。
達成可能で現実的な目標を立てる事が大切です。
私たちのやる気を奪うのは、大きすぎて明確にイメージ出来ない目標や、
目標の立て方は『MAC(マック)の法則』に沿って立てると、具体性のある現実的な目標を立てる事ができます。
④目標勾配効果を持たせる
目標勾配とは、心理学用語で「目標に近づけば近づくほど、その目標の主観的価値が高まるため達成しようとする効果」です。
モチベーションを持続させるのに必要な事は「進んでいる感覚を持たせる事」です。
- 「コーヒーを10杯買えば無料で1杯をサービス」と書かれたスタンプカードを渡す。
- 「コーヒーを12杯買えば無料で1杯をサービス」と書かれたスタンプカードを渡す。
ただし、そのカードにはすでに2つのスタンプが押してある
どちらも10杯買わないと無料サービスを受けられないのは同じですが、実際は2のグループの方がスタンプが貯まるのが速かったのです。
「進展度は変わらなくても、前進してるようにさえ見えたり感じられればモチベーションは上がる」という有名な研究です。
理屈では同じ10杯とわかっていても、脳は進んでいるように認識してしまうところが面白いですね。
実際に取り入れているお店が多いのは、こういった理由だったわけです。
ゴールに近づけば近づく(または近づいていると感じる)ほど、人は行動意欲が増してきます。
ハーバード大のアマビール教授によると
「小さな勝利(ゴールや達成)には驚くほどの効果があり、小さな失敗(挫折や未達成)にも驚くほどの影響がある」とのこと。
中・長期的に目標を立てるのであれば、毎日どんな状態でも達成できそうなスモールゴールを設定し自己効力感を高めていくのが重要ということです。
対策として、どんなに小さな事でも前進した事を毎日ノートに記録する。という事が挙げられています。
ハードルの高い設定は挫折と自己嫌悪を生み、モチベーションを下げることに繋がるので要注意です。
人はイメージがつかめない事や物に対して、行動が抑制される事がわかってます。
その結果、行動意欲を持てずにやる気がなくなってしまうのです。
目標勾配効果では、ゴールと現状を把握する事で「進んでいる、成果が出ている」という感覚を持つ事ができるため、ゴールまでのやる気が自然と出てくるようになります。
⑤双極割引を理解する
意志の力でモチベーションを維持しようしていも、情報や誘惑という名の邪魔が入ります。
そこで陥りがちなのが双極割引です。
双曲割引とは、将来の価値を小さく見積もり、目の前の価値や誘惑は大きく感じてしまう性質です。
「ダイエット中だけど、目の前のチャーシューメンの誘惑に負けてしまう」
これも双極割引の性質であり、将来の成果より目の前の誘惑に負けやすい性質です。
そこでそのまま誘惑に負けてしまうと、やはり自己嫌悪に陥ります。
人の脳は未来の価値を判断するのが苦手です。
だからこそ、目標勾配効果を利用して、毎日自分がどれくらい進んでいるのか、最終目標がどこにあるのかを意識し自分に問いかける事が非常に重要になっていきます。
⑥成功するイメージを持たない
『やれば出来る!』
と考えて、やる気を出そうと思っている人が多いですが「出来ると思ったけど、結局出来なかった」という結果が起こると、やる気を奪う最大の原因である自己嫌悪を生みます。
自己嫌悪は、次に何かに挑戦する際に「また失敗するんじゃないか」という不安をつくり、やる気を消失させます。
また、人間の脳は現実と想像の区別がつきません。
短期的にみれば、成功(達成)した姿をイメージする事は高揚感を生みますが、長期的に見れば行動を抑制してしまいます。
これを 解決するためには
『どうすれば出来るようになるか?』
に置き換える。すると脳が解決思考に変わり、現実的で前向きな行動を取る事ができるようになります。
⑦やる気が無くなる前提で始める
多くの人は無意識のうちに “一度手を付けたら最後までやり通す“ という前提で考えます。
これはゴールまでの距離を感じ始動へのハードルが上がる為、やる気を奪います。
「ど〜せ途中で飽きるんだから、出来るとこまでやってみよう」
という感覚で始めてみると意外と進みます。
これは最初に紹介した脳の側坐核が刺激されていくからです。
⑧やる気がなくなった時の対処法を考えておく
作業に取り組んでいても、途中でやる気がなくなってしまう事があります。
一度やる気が無くなってしまうと、また開始するまでに時間がかかります。
これを回避するために事前対策として【もし◯◯になった時、▲▲する】というのif-thenプランニングを考えておきましょう。
⑨環境を整える
ミシガン州立大学の研究です。
学生達にパソコン作業をしてもらい、途中で画面にポップアップ表示を出した結果、2.8秒の表示で作業効率が半分以下まで低下しました。
LINEの通知だけで集中力は奪われます。集中できない状況では、当然やる気は出ません。
集中して勉強や作業をする時は、スマホの通知をOFFにする事が望ましいです。
⑩行動条件を自動化する
例えば目標を「毎日資格の勉強する」にすると、自分の意志力に大きく左右されてしまいます。
「自分の意志の力」なんて全く信用できません。
【では実際どうすれば良いのか?】
その作業に取り組む時だけの特定の条件をつくり、条件が発動した時に作業を開始します。
例えば
「毎日21時にアラームをセットする。アラームが鳴ったら携帯の電源をすぐに切り、勉強部屋に入り鍵をかけて勉強を開始する」
行動条件をつくり、明確にすることで行動が自動化されます。
自動化する事で「意志力に頼らないやる気」を生み出す事ができます。
⑪具体性を持たせる
人間の脳はイメージがつかめないと行動にブレーキがかかります。
例えば 「英単語20個覚える」だと目標が抽象的です。
この目標を以下のようにします。
「夜21時から速読英単語帳の25〜26ページにある単語を20個覚える。覚え方は1つずつ単語を暗唱しながら、ノートにまとめる。最後に赤シートを使用し再チェック」
このように行動を明確に言語化すると、脳が行動への順序を理解して、 自分から行動をとることができるようになります。
⑫脱フュージョン
「〇〇と思った」というテクニックを使います。
欲求に負けやすい人に効果的で、ただ声に出すだけの簡単な方法です。
『「宿題があるけどYouTubeを見たい」と思った』
自分の意識を客観視させ、現実と欲求を切り離すことで、本当に自分に必要なだけ事に目を向けさせます。
これは認知行動療法のテクニックで脱フュージョンと言います。
⑬見える化する
人は全情報の9割を視覚からの情報で処理している為、視覚を利用します。
「仕事から帰ったら毎日ジムに行く」が目標であれば【玄関を開けたら、運動靴とトレーニングウェアなどが目に入る状態になるよう準備してから出勤する】という状態にしておきます。
行動に必要な物を見える状態に(見える化)しておくことで、自然と行動への初動が早くなります。
⑭成功体験を感じる
「目標勾配効果」でも書きましたが、人は前に進んでいる感覚を持つことで、行動への意欲やを持つ事ができます。
小さな成功体験を積み上げていく事で、達成感と幸福感を感じてやる気が出てきます。
⑮パブリットコミットメント
達成したい目標がある時は友人や家族に宣言しましょう!
仲間に宣言する事で「後戻りは出来ない!」という心理でやる気がでます。
これを心理学ではパブリック・コミットメントと言われています。
短期的にはやる気の源となりますが、長期での高い目標(半年で20キロ痩せるなど)は心理的負担となる場合もあるので、そこだけは注意です。
⑯付加価値を考える
何かに取り組む際に
『この課題を達成する事で、他に得られるものや技術はないか』
とやるべき事への付加価値を考えます。
何も見えてこなければ
「計画を立てて、計画通りに取り組む。これが出来れば別の課題を与えられた時に、また同じように計画を立てれば、達成することができる」
など自信や指標を身につけられる事を考えましょう。
それだけでも大きな付加価値です。
⑰優先順位と費やす時間を考える
優先順位をあぶり出し、最初に何をするかと、次に何をしていくかを考えます。
「仕事は与えられた時間によって複雑になっていく」
という言葉があるように、時間を決めないと仕事量はどんどん増えたり、複雑化してしまいます。
脳はイメージできない事に対してブレーキが掛かるので、優先順位と時間は言語化しタイマーなどを使うのがベストです。
「なんとなく12時まで」と考えると、高確率で時間をオーバーしてしまいます。
時間通りにいかないと
「自分は計画通りに物事を進められないんだ」
という自己嫌悪を生み、やる気がなくなります。
⑱フロントローディング
タスクに取り掛かかった時に「あれもしなければならない、これも追加しなければならない」となり、結局予定していた作業時間が大幅にずれ込むことがあります。
多くの場合、タスクに取り組み始めてから「やるべき事がどれくらいの量なのか、必要な準備が何なのか」に気付きます。
自分が想定していた仕事量よりも多い場合は、そこでやる気が失われてしまいます。
これを防ぐには、前日や集中した作業を行う予定の前に、少しだけ大枠の作業に取りかかり、目安時間と概要を把握しておくのが有効です。
これをフロントローディングと言います。
フロントローディングを行っておく事で、予定の見積もりができ、優先順位や費やす時間を計算しやすくなります。
⑲承認欲求を利用する
人は誰でも他人に褒められたり、喜ばれたいという承認欲求を持っています。
自分が成果を出した時に
【誰が喜んでくれるか、誰に褒めてもらるか】をイメージすると『承認欲求を満たしたい』という気持ちが働き、やる気が出てきます。
特定の人が思い浮かばなければ、まだ出会った事が無い不特定多数のイメージでOKです。
私の場合だと
『このブログを書くことで、“まだ出会った事がない誰か”の役に立っている』
と思うことで、モチベーションが上がります。
⑳時間を見ない
やる気が出ないのは「常に時間に追われている感覚」を持っているからです。
作業に取り組む間「タイマー設定」をして、タイマーが鳴るまで時計や時間を見ません。
作業だけに集中する環境を自分で用意するだけで、自然とやる気が出てきます。
時間を気にせず、作業に没頭する環境をつくりましょう。
ポモドーロ・テクニックが有効です。
㉑音楽を聴く
音楽を聴くだけでドーパミンの分泌を促す「報酬回路」が活性化し、やる気が出てきます。
気分が良くなる音楽をピックアップしておきましょう。
㉒毎日の行動を記録する
自分はどんな時にやる気が無くなるのか
・時間
・環境
・疲労
・欲求
・ストレス
原因を記録していく事で、自分が怠けるタイミングとやる気が無くなる条件を客観的にあぶり出してみましょう。
実際にやってみると、驚くほど効果がありますよ。
㉓運動する
たった3分程度の運動でも、ドーパミンやアドレナリンが分泌されてやる気が出てきます。
この時軽く息が切れるくらいの運動をすると効果的です。
さらに、20分以上の運動(散歩程度でも可)をすると、BDNF(脳神経由来栄養因子)と呼ばれる神経伝達物質が出て、集中力や記憶力が向上します。
やる気の出し方まとめ
意志の力に頼ると、それだけで心理的なプレッシャーを感じ、行動が抑制されてしまいます。
脳の仕組みを学んで、意志の力に頼らないやる気の出し方を実践していきましょう。
どれか1つではなく、組み合わせて使うことでより高い効果を発揮します。
「やれば出来る!やらなきゃ!」は、結果的に行動を抑制してしまうので、頑張らなくても自動的に動き出せるような環境を準備することが大切です。
さっそく今日から実践しましょう(^^)